南米ベネズエラのハイパーインフレとデノミ

南米ベネズエラのハイパーインフレとデノミ

デノミとは何か

南米のベネズエラが、通貨ボリバルのデノミを発表した。その内容は、ゼロを5つとるというもので、10万ボリバルが1ボリバル(100,000→1)になるということだ。

ちなみに、デノミとはデノミネーション(又はロシア語のデノミナーツィヤ)の略であるが、英語のデノミネーション(denomination)には通貨単位を下げる(又は上げる)という意味はなく、単に「通貨単位」のことを指す。

英語で通貨切り下げ(又は切り上げ)に対応する言葉は、リデノミネーション(redenomination)又はチェンジ・オブ・デノミネーション(change of
denomination)と言う。

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デノミとインフレ

他に学校で習ったのか、インフレ、デフレ、スタグフレという言葉も聞き覚えがあるが、分かっているようで分からない。それぞれ、インフレーション、デフレーション、スタグフレーションの略であるが、直訳するとinflati onは膨張、deflationは収縮である。stagflationはinflationとstagnation(スタグネーション、停滞)を併せた造語である。

インフレとは物価が上昇し、そのために通貨の価値が下がることを言う。基本的には需要が増加したが供給が追い付かない場合に発生する。要するに、みんな欲しいのに量が少ないから値段が上がるということ。

一般的には、ゆるやかなインフレが好ましいとされ、好況期にはそうなることが多い。しかし、経済の停滞期にも起こる場合があり、不況で賃金が上がらないのに物価が上がる場合があり、これがスタグフレーション(経済が停滞しているのにインフレになる)といわれるものである。

もう一つのデフレは、物価が下がり通貨の価値が上がる場合で、今の日本がそれに近い。この時、物の値段が下がるとの期待から買い控えが起こって、供給者側は更に値段を下げる必要に迫られる。この悪循環をデフレスパイラルという。

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デノミをするのは何のためか

さて、デノミに話を戻そう。そもそもデノミは何のためにやるのか 。インフレ、それもパン1斤が100億ジンバブエドルといった、ジンバブエでのハイパーインフレのような場合にデノミは行われる。

よって、私はインフレ対策のために行うと思っていた。理論的には通貨の流通量が減るため、インフレ解消になるはずであり、そのために行っているということもあるようだが、経済なんてそう簡単な一撃で復活するものではない。

ひとまずの目的は、それこそパンを買うのにトラックに紙幣を積んで行かないと買えないような不便を解消するために行うということらしい。それに計算も大変だしね。

そして、心配なのは「昨日までは100万だったのに、100分の1のデノミで1万になってしまった!」というやつである。しかし、通貨の流通量が減少することで通貨の価値が上がり、相対的に物の値段も下がるため、それは大丈夫のようだ。

確かに、100万が1万になるのは寂しいが、通貨などそれそのものに価値はないから、物やサービスに変えられてナンボの世界でしょう。だから100万が 1万になっても、100万で買おうと思っていた車が1万になれば何の問題もないわけである。

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預金封鎖とは

ただし、戦後の日本でも行われたようであるが、このデノミに併せて預金封鎖を行われると問題である。一般的にデノミは、例えば100万円が明日から1万新円となるとすると、100万円を1万新円と交換するか、100万円の預金を払い出す時に1万新円となるのだが、この預金を引き出す際に制限を設けることがあり、それが預金封鎖と言われるものだ。

例えば、1000新円までの制限が儲けられれば、100万円の預金を引き出すのに、満額の1万新円は無理で、1000新円しか引き出せないということだ。これは、インフレを解消するための通貨の流通量を少なくするための措置であり、当時の日本ではうまく機能してインフレを解消したようだが、急に大きな資金が必要となった際には困ることもあったようである。

更に2009年に北朝鮮で行われた100分の1のデノミと預金封鎖は、制限額を超えた金額が事実上政府が没収した状態となるもので、国民の不満を混乱を招き大失敗し、経済は悪化したという。なお、このデノミの実行責任者である朴南基は責任を問われ処刑された。

ベネズエラのデノミがうまく機能することを望む。